『半僧半俗ノート 〜日常と仏教の交差点〜』をお読みの皆様、こんにちは。
いよいよ富士山が本格的な夏山シーズンを迎えましたね。今年は13年ぶりに山梨・静岡の両県ルートが同時開山となり、美しい「ご来光」を求めて連日多くの登山者で賑わっているようです。
その一方で、ニュースのもう一つの見出しとして私の目を引いたのが、『軽装登山で27人に指導も』という事実でした。
「せっかく来たのだから、早くあの頂上に立ちたい」「ご来光の瞬間にどうしても間に合わせたい」そのはやる気持ちはとてもよく分かります。しかし、頂上(結果)だけを強く見つめすぎるあまり、準備不足のまま無茶なペースで登り、結果的に道半ばで体調を崩してしまう方が後を絶たないと言います。
これを見た時、私たちの日常や仕事、学びの場でも、全く同じことが起きているのではないかと感じました。
情報に溢れ、タイムパフォーマンス(タイパ)という言葉がもてはやされる現代において、私たちは常に「最短・最速で結果を出すこと」を求められています。
その焦りから、心身の準備や休息を削って無理を重ねたり、極端な行動に走ってしまったりして、途中で息切れしてしまう人は決して少なくありません。
そんな現代の私たちに、仏教は「中道(ちゅうどう)」という生き方を教えてくれます。
お釈迦様ご自身も、かつて悟りを開く前は、自らの体を極限まで痛めつける「極端な苦行」をされていました。しかし、いくら無理を重ねても本当の悟りには至らないと気づき、極端な苦しみを自分に強いることも、逆に欲望のままに怠惰に生きることも退けました。 そして、心身のバランスが最も美しく保たれた無理のない状態、つまり「中道」に入られたことで、真の悟り(結果)を得られたのです。
山の頂上に立つという目標は素晴らしいものです。日常の仕事や学びの目標も同じです。 しかし、「早く結果を出さなきゃ」という極端な焦りにとらわれてしまった時は、一度立ち止まってみてください。
十分な装備(準備)は整っているか。
自分の心身が悲鳴を上げていないか。
極端な無理を避け、しっかりと足元を固め、自分に合った「中道のペース」を見つけて歩むこと。回り道のように見えて、実はこちらの方がずっと確実で、景色を楽しむ余裕のある豊かな道のりなのです。
今週も、焦らず、ご自身の心地よいペースを大切に、穏やかな週末をお過ごしください。
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