『半僧半俗ノート 〜日常と仏教の交差点〜』をお読みの皆様、こんにちは。
11月を目前に控えたこの時期に、非常に強い勢力の台風31号が小笠原諸島の南へ進んでいるというニュースが報じられています。10月末時点での平年の台風発生数は約22〜23個ですから、「31号」という数字の多さにも驚かされますし、何より「こんな秋も深まった時期に台風?」と、季節外れの予想外な事態に戸惑う方も多いのではないでしょうか。
「今はもう秋なのだから、台風なんて来るはずがない」
「31個も来るなんて、異常でおかしい」
私たちは無意識のうちに、人間が勝手に作った「カレンダー」や「平年の平均値」という枠組みの中に、大自然を当てはめようとしてしまいます。そして、その枠から外れた「予想外」のことが起きると、ストレスを感じてしまうのです。
実はこの感覚、仏教の基本的な教えである【一切皆苦(いっさいかいく)】にも通じるものがあります。
「苦(く)」という漢字を見ると、「苦しい・痛い・悲しい」というネガティブな感情をイメージしがちですが、仏教のサンスクリット語には、苦痛だけでなく「不満足さ」や「自分の思い通りにならないこと」という意味合いもあります。つまり「一切皆苦」とは、「この世のものごとは、必ずしも自分の思い通りにはならない」という、極めてフラットな事実を教えてくれているのです。
この「思い通りにならない」という事実は、天気だけでなく、私たちの日常のあらゆる場面に当てはまります。
「部下が指示通りに動いてくれない」
「子どもが予定通りに準備してくれない」
「仕事のスケジュールが急なトラブルで白紙になった」
こうした日常のイライラの多くも、私たちが「自分の思い通りに(予定通りに)進むはずだ」という強い期待を握りしめているからこそ生まれる摩擦です。
天気も、他人も、人生も、そもそもが「一切皆苦(思い通りにならないもの)」。最初からその前提に立っていれば、季節外れの台風が来ても、急な仕事のトラブルが起きても、「まあ、世の中そんなもんだよね」と肩の力を抜いて、しなやかに次の一手を打つことができます。
「予想外」を嘆くのではなく、「思い通りにならないのがデフォルト(標準設定)」だと受け入れてみる。そんな心構え一つで、波立つ日常が少し穏やかに見えてくるかもしれません。
台風の進路もまだ不確実とのことですので、最新の情報にはお気をつけいただきつつ、今週末もご自身のペースで心穏やかにお過ごしください。
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